名作をレストランに転用

01(3対4)
2012年 10月 7日
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上小沢さんは、建築家・広瀬鎌二設計の住宅をレストランに転用。「上小沢邸」は空間・料理を楽しむ場所に生まれ変わっていました。

 
 
 


ドイツ文学者であった上小沢敏博氏は、趣味が建築であったようで、無駄を削ぎ落した広瀬鎌二の作品に惹かれ、住宅の設計を依頼。1959年に完成のこの建築作品に、50年間住み続けました。

初めてこちらを訪問した際、簡素な最小限住宅で収納がほとんど無いことに驚きましたが、「収納は不要」とキッパリおっしゃり、「広瀬鎌二の建築を堪能するのみ」という意思を感じさせました。

 
 
 


2009年におもてなしレストランとして生まれ変わった店の名前は、ずばり「上小沢邸」

レストランへと改修後も、以前訪問させていただいた住宅のままの姿であると感じました。

敷地内の奥側には、2004年に完成させた茶室がありましたが、現在はレストランの離れの部屋として使用されています。

 
 
 


写真右が、姪御さんの美香さん。

美香さんは、数年前、上小沢夫妻がご夫婦で医療施設に入ることになりその資金繰りに苦悩することとなりました。また、その後の相続税のことも考え、上小沢さんにレストランに転用することを提案。

品川区上大崎というこの場所の地価を考えた場合、一般的には平屋の住宅は解体し高層マンションを新築するという方法を選択をすると思いますが、上小沢さんは美香さんの提案を受け入れ小さな名作を残すことを選択。

 
 
 


レンストランへの改修後初めての訪問だったのですが、上小沢さんのご自宅に招待され、離れの茶室でおもてなしを受けているように感じました。

食事をしながら、「古い建築を残すことの意味」「解体し新しい建築を建てることは良くないことなのか?」などのお話になりましたので、以前このブログで書いた「丸の内にある憩いの場」のように、古い建築を解体し建築を高層化することで生まれる場もあることをお話しました。

しかし、この上小沢邸は、解体せず残す方法を選択していただいたことに感謝しています。周辺の高い建築に囲まれたこの場所で、一見無駄に見える空間の広がりは、時を経てその意義を見出されるのではないかと思っています。

 
 
 


料理は、どれもひとつひとつ丁寧に心を込めてつくっているのが伝わりました。
まさにおもてなし料理。

しゃぶしゃぶ用のスープは、脂肪分を取り除いたプリプリのコラーゲンスープ。
この日の肉は、宮崎産尾崎牛(尾崎さんが育てた牛)でした。

 

(写真撮影 2012年10月2日) 塚田眞樹子建築設計